バルセローナのエトー選手が、サラゴサのサポータに人種差別発言を浴びせられベンチに引っ込みかけた。FIFAが何を言ったところで馬鹿者の知能指数が向上するわけではないし、エトーが差別されたからといって彼のアスリートとしての才能が貶められるものでもない。しかし、怒りを抑えきれない。
そこでふと思ったのは、(1)人種とはいったい何をもって定義出来るものか、(2)そもそも我々は自らの人種的な価値をきちんと認識しているのかということである。
皮膚の色は人種に特徴的なマーカーの代表と考えられているが、法医人類学者にいわせると「上顎前出」の方がよほど当てになるというし、19世紀のアメリカでは足の形状の方がより人種に特徴的であると考えていた。皮膚の色が属内婚を忌諱するバリアーにならない社会もあるが、アメリカでさえ、人類遺伝学的な調査結果からは、白人・黒人それぞれの集団がかなりmash-upされていることが分かっている。皮膚の色は量的形質であり、ヒトでは11、9、13、 15そして16番染色体に遺伝子が存在する。ボストンやフィラデルフィアの黒人同士のカップルに比較的皮膚の色が薄い子供が生まれる確率が高いが、白人集団由来の遺伝的プールが寄与している可能性が高い。米国では人口の0.7%程度が白人とアフリカ系のadmixtureであるが、イベリア半島のポルトガルおよびスペインではそれぞれ8%、5%と推定されている。こうした推計からみると、米国では白人カップルには肌の色が濃い赤ちゃんが生まれる確率はほとんどないが、イベリア半島では0.5%を超える。アルゼンチンやチリではここ2世紀の間、多くのアフリカ系の集団を飲み込んで来たが、白人ぽく見える人が多いのもこのためだというexplanationがある。
日本人の集団遺伝学的な起源を考えるとあまり滅多なことも言えなくなるね。
BioEssay 20(1998):712-21&Am.J.Human Genet. 70(2002):770-775

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