Thursday, April 27, 2006

 RiceとRumsfeldが電撃的にバクダットを訪れ、Nouri al-Malikiと会談した。Malikiが「全ての部族、宗派参加による政府の実現」を公約したのに対して、Riceは“I found him to be very focused. It’s clear that he understood his role and role of the new government to really demonstrate that there’s a government of national unity”と言ったという。
 更にRummyはI came away most encouraged”とのたまったという。Bushの支持率の低下、中間選挙に向けての巻き返しに向けたタイミングの読みがあり、イラク駐留軍の縮小に手をつけたいわけだ。  
 ところが、一両日の中に、イラクの副首相に選任されたMeysoun al-Hashemiの兄妹が何者かに銃撃された。13日にはHashemiの弟も暗殺されており、統一政府の樹立に暗雲が立ち込めた形だ。
 HashemiはSunni派を代表する人物であるが、Zarqawiグループを初めとする武装勢力は一様に米国の息のかかった傀儡政権への参加者に対して威圧的な発言を繰り返していたという。
 一連のの政治家へのテロ活動によって、Sunni派内部における路線対立の深刻化が危惧されるところだ。
 Telegraph27/4/2006

Wednesday, April 26, 2006

 かつて日本の指導者は国連の名前を出せば、ある程度の軍事行動の行使も正当化できると考えていたのだろうが、レトリックとしてはもはやアナクロもいいところだ。Oil for Food、ダルフールにおける虐殺の放置等を見るとBushならずとも”UN ha?”だわな。 UNに残された仕事となると、南北問題の穏当な処理ということぐらいだろうが、実際には、現実を無視した理想論が跋扈し、美辞麗句を弄して、我国や米国の税金をドブにすてている。 現実を直視し、制度を矯正していくしか手はないだろうが、国連の“Millennium Development Goals(MDG)”がまず槍玉にあがった。2000年のサミット189カ国による2015年までの飢餓の根絶を訴え、AIDS, マラリアの根絶などを掲げ、既に500億円-以上の資金が投入されているというが、未だ成果らしい成果は上がっていない。それどころか、怪しげな統計データを駆使して、成果を強調するような報告をしている。 Canada Research Chair in LawのAmir Attaranは国連はMDGを批判する急先鋒であり、昨年PLos Medicineに"An Immeasurable Crisis? A Criticism of the Millennium development goals and why they cannot be measured"と題する主張を展開した。更に、今週、Lancetに世銀によるマラリア対策についての批判を展開したが、BBCとNYTimesが釣られた。 そもそも、公衆衛生、genderさらには教育などの広範な問題を統合的に論じること自体無理なわけで、提示されているGoalもどうしたらそうなるわけというものばかりだ。 飢餓や教育、公衆衛生の問題の解決に向けて、Paul Wolfowitzがどのような舵取りをするのか、まー、お手並み拝見といったところか?

Tuesday, April 25, 2006

サクラメントに行ったことがある。最近では、NBAのチームの誘致に成功し、州都としての面目を保っているが、この町には多くの日系人が住み、第二次大戦中には収容所もあった。私の知人もそこで少女時代を過ごしたのだが、その話は別の機会にしよう。
私のサクラメント滞在は僅か一週間ほどであったが、その後急遽シカゴに向かうことになった。搭乗した飛行機はオレンジ色にペイントされた733だったが、がらがらの機内でサーブされた大皿のラザニアが妙に印象に残っている。
 先週、シカゴ発サクラメント行きのユナイテッド航空735便でテロ騒ぎがあり、乗客にとって散々な旅行となったようだ。飛行機はエアバスの320だったというから、飛行機のサイズは今も変わらないようだ。事の顛末については、http://www.freerepublic.com/focus/f-news/1619856/postsをご覧頂くのがいいと思うが、簡単な事実関係だけは記しておく。
 Hispanic系の男性が、「俺は死ぬ!」だとか、「この国を何とかしなきゃいけないんだ」とか叫び操縦席に駆け寄り、ドアをこじ開けようとした。これに対して、1列目と4列目の乗客が協力して、犯人を取り押さえたが、抵抗がやむことはなかった。パイロットは急遽目的地の変更を申請し、デンバーに緊急着陸し、事なきを得た。この際、F16 二機のスクランブル発進も確認されたという。
 アメリカでは、4月28日に映画“United93”の公開が予定されており、debateの最中にある。また一方で、LAを中心に「移民規制法」反対運動が盛り上がりを見せたが、民主党も国内労働市場の保護に賛成の対場にあるので、マイノリティーの反発も相当なものなのだろう。
 怪我人が出なかったのは何よりだったが、日本では飛行機がハイジャックされたらどうするんだっけ?

Monday, April 24, 2006

胡錦涛の訪米に際してやっぱりでてきたね、法輪功。ただ、Wenvi Wangのパーソネルはというと、既に20年間の滞米歴があり、シカゴ大でPhDを取得し、最近NYのMount Sinai Hospitalで研修を修了しているというから奇妙だ。彼女は、2001年のMaltaのサミットで江沢民に詰め寄ったとの話もあり、中国当局にはマークされていたようだ。
昨年、父親の葬儀に出席するため、一時帰国しようとした彼女であったが、パスポートの発給を拒否されたという報道もある。なんとなく、オウムの林医師を想像してしまうのは私だけだろうか?
 胡錦涛をコケにして喜んでいる勢力もいるのだろうが、ワシントン州の前知事のGary Lockeなどは怒りが収まらないだろう。Bill Gatesの邸宅で開催された夕食会には、現知事のChristine Gregoireも出席し、地元企業の有志に会費として20,000ドルを払わせたというのだから。
 中国としても、窮地に立たされたBoeingから最新鋭の飛行機を買うことや、PCにOSをプリインストールすることを義務づけるなど、手ぶらで遊びにきたわけではないので、双方、忸怩たる思いがあるだろう。
江沢民がクロフォードを訪問してから既に4年が経過したわけだが、ヨーロッパを徘徊する中国人旅行客の増加には正直驚いている。
 他に何かあったっけ?今度、良く考えてみよう。

Wednesday, April 19, 2006

免疫学の話をひとつ。四月14日号のScienceに“Evidence for a functional second thymus in mice”という論文がでていた。胸腺は心臓の上にへばり付いたクロワッサンのような形をした臓器というふうに理解されていると思う。ところが、今回、首の副腎の近くにあるリンパ節のような臓器が、機能的な胸腺であるという証拠が提示されたわけだ。
著者の提出したデータとしては、①組織学的な構造、②胸腺特異的な分子の発現、BAL/Cヌードマウスへの移植→T細胞依存性抗原(B型肝炎ウイルス表面抗原)に対する抗体価の測定などであった。
私などにしてみれば、アッソという感じだ。というのも、鳥類(ニワトリ)の胸腺は、もともと頚椎に沿って、複数のlobesが左右対称に並んでいるからだ。でも、T細胞のontogenyの仕事をしている方にとっては、悩ましい論文だろう。胸腺切除によってde novoのTcellの発生を止めるトリックを使った実験データの解釈を見直す必要があるからだ。
科学は今回の件のように、修正されつつ発展するわけで、Don’t mindとしかいえない。
ヒトにもあるの?という話にもなるのかなと思うが、、それは未知の世界だ。
 今回の論文を読むと、「40年ほど前に、マウスの首の切片を観察すると、胸腺に似た臓器があるという報告があった」と書いてあったのだが、出典は”Wistar institute symposium monograph No. 2., V.Defendi, D. Metcalf, eds.( Wistar institute press, )となっていおり、レフェリーに指摘されるまでは、誰も気がつかなかったのではないか。
 論文を執筆するに際してリサーチするのは当然だが、どの程度で止めるかというは悩ましい問題だ。ある特定の機能を担う分子のクローニングを試み、既知の分子に行き着いた場合などは、適当なreviewを呼んで孫引きしたり、vivisimoで探すぐらいが関の山だったりする。そういう意味では、Googleが全出版物を押さえにかかるというのは、使う側からすると大変ありがたいが、それじゃBig brotherの世界だといえば、その通りなわけで…悩ましい。

Tuesday, April 18, 2006

新疆ウイグル自治区といったらきな臭い事で有名であるが、2001年にパキスタンで拘束され、Guantanamoに送られたAbu Bakker Qassim とA’del Abdu al-Hakimのケースは微妙だ。
二人は、敵国兵ではないことが確定し、釈放を求める訴えを起こしていたが、最高裁は、宗教的な迫害などを理由に釈放を見合わせる判決を下した。
 二人の、バックグラウンドについては特に引っかかるところもないが、拘留センターの収容者490名のうち、15名がUighurs(3%)ということを BBC newsはさりげなく伝えており、イヤーな感じですな。
 胡錦涛といえば、89年1月にはチベット自治区の共産党書記に就任し、分離独立運動を強力に押さえ込んだことにより、党中央の信頼を勝ち得たとの観測があるようです。
 火曜日に米国を訪問する際には、「この話は無しネ」といったところだろうが、いやらしく擦るところが、BBCのBBCたる所以ですな。
BBC news 17 April 2006

Sunday, April 16, 2006

子供の時は暇さえあれば外で遊び、擦り傷、切り傷が絶えなかった。今でもそれなりに遊んでいるのだろうが、スポーツや運動に費やす時間も少なくなった。ということで、裂傷とか擦傷というのもほとんどないが、一遍出来たら中々治らなくなった。それが、「老い」を感じ始めた瞬間かもしれない。 
Journal of Cell Biologyに載ったBalaji Bandyopadhyayらの論文はちょっと面白かった。TGFシステムは細胞の極性や運動の制御に重要な分子であることはかなり詳細に記載されてきたが、組織の構築・修復においても重要らしい。血漿中にはTGFB3がほとんどないが、血液の凝固に伴い血清中に放出される。レセプターの分布も真皮と上皮でかなり違う。TGFß receptor (TßR) type II レベルは上皮では低く、真皮で高い。 傷が出来た場合、出血、凝固、というシグナル.キャスケードによって、TGFB3が放出され、TGFBRIIが発現した真皮の修復される。その後、上皮の修復が始まるが、上皮の修復開始のタイミングがTGF3の消長と一致する。
 このように、上皮と真皮の再構築には時間的、空間的なコーディネーションが必要であり、なるほどねといったシナリオだった。
J. Cell Biol. 172, 1093 (2006).