Thursday, April 27, 2006

 RiceとRumsfeldが電撃的にバクダットを訪れ、Nouri al-Malikiと会談した。Malikiが「全ての部族、宗派参加による政府の実現」を公約したのに対して、Riceは“I found him to be very focused. It’s clear that he understood his role and role of the new government to really demonstrate that there’s a government of national unity”と言ったという。
 更にRummyはI came away most encouraged”とのたまったという。Bushの支持率の低下、中間選挙に向けての巻き返しに向けたタイミングの読みがあり、イラク駐留軍の縮小に手をつけたいわけだ。  
 ところが、一両日の中に、イラクの副首相に選任されたMeysoun al-Hashemiの兄妹が何者かに銃撃された。13日にはHashemiの弟も暗殺されており、統一政府の樹立に暗雲が立ち込めた形だ。
 HashemiはSunni派を代表する人物であるが、Zarqawiグループを初めとする武装勢力は一様に米国の息のかかった傀儡政権への参加者に対して威圧的な発言を繰り返していたという。
 一連のの政治家へのテロ活動によって、Sunni派内部における路線対立の深刻化が危惧されるところだ。
 Telegraph27/4/2006

Wednesday, April 26, 2006

 かつて日本の指導者は国連の名前を出せば、ある程度の軍事行動の行使も正当化できると考えていたのだろうが、レトリックとしてはもはやアナクロもいいところだ。Oil for Food、ダルフールにおける虐殺の放置等を見るとBushならずとも”UN ha?”だわな。 UNに残された仕事となると、南北問題の穏当な処理ということぐらいだろうが、実際には、現実を無視した理想論が跋扈し、美辞麗句を弄して、我国や米国の税金をドブにすてている。 現実を直視し、制度を矯正していくしか手はないだろうが、国連の“Millennium Development Goals(MDG)”がまず槍玉にあがった。2000年のサミット189カ国による2015年までの飢餓の根絶を訴え、AIDS, マラリアの根絶などを掲げ、既に500億円-以上の資金が投入されているというが、未だ成果らしい成果は上がっていない。それどころか、怪しげな統計データを駆使して、成果を強調するような報告をしている。 Canada Research Chair in LawのAmir Attaranは国連はMDGを批判する急先鋒であり、昨年PLos Medicineに"An Immeasurable Crisis? A Criticism of the Millennium development goals and why they cannot be measured"と題する主張を展開した。更に、今週、Lancetに世銀によるマラリア対策についての批判を展開したが、BBCとNYTimesが釣られた。 そもそも、公衆衛生、genderさらには教育などの広範な問題を統合的に論じること自体無理なわけで、提示されているGoalもどうしたらそうなるわけというものばかりだ。 飢餓や教育、公衆衛生の問題の解決に向けて、Paul Wolfowitzがどのような舵取りをするのか、まー、お手並み拝見といったところか?

Tuesday, April 25, 2006

サクラメントに行ったことがある。最近では、NBAのチームの誘致に成功し、州都としての面目を保っているが、この町には多くの日系人が住み、第二次大戦中には収容所もあった。私の知人もそこで少女時代を過ごしたのだが、その話は別の機会にしよう。
私のサクラメント滞在は僅か一週間ほどであったが、その後急遽シカゴに向かうことになった。搭乗した飛行機はオレンジ色にペイントされた733だったが、がらがらの機内でサーブされた大皿のラザニアが妙に印象に残っている。
 先週、シカゴ発サクラメント行きのユナイテッド航空735便でテロ騒ぎがあり、乗客にとって散々な旅行となったようだ。飛行機はエアバスの320だったというから、飛行機のサイズは今も変わらないようだ。事の顛末については、http://www.freerepublic.com/focus/f-news/1619856/postsをご覧頂くのがいいと思うが、簡単な事実関係だけは記しておく。
 Hispanic系の男性が、「俺は死ぬ!」だとか、「この国を何とかしなきゃいけないんだ」とか叫び操縦席に駆け寄り、ドアをこじ開けようとした。これに対して、1列目と4列目の乗客が協力して、犯人を取り押さえたが、抵抗がやむことはなかった。パイロットは急遽目的地の変更を申請し、デンバーに緊急着陸し、事なきを得た。この際、F16 二機のスクランブル発進も確認されたという。
 アメリカでは、4月28日に映画“United93”の公開が予定されており、debateの最中にある。また一方で、LAを中心に「移民規制法」反対運動が盛り上がりを見せたが、民主党も国内労働市場の保護に賛成の対場にあるので、マイノリティーの反発も相当なものなのだろう。
 怪我人が出なかったのは何よりだったが、日本では飛行機がハイジャックされたらどうするんだっけ?

Monday, April 24, 2006

胡錦涛の訪米に際してやっぱりでてきたね、法輪功。ただ、Wenvi Wangのパーソネルはというと、既に20年間の滞米歴があり、シカゴ大でPhDを取得し、最近NYのMount Sinai Hospitalで研修を修了しているというから奇妙だ。彼女は、2001年のMaltaのサミットで江沢民に詰め寄ったとの話もあり、中国当局にはマークされていたようだ。
昨年、父親の葬儀に出席するため、一時帰国しようとした彼女であったが、パスポートの発給を拒否されたという報道もある。なんとなく、オウムの林医師を想像してしまうのは私だけだろうか?
 胡錦涛をコケにして喜んでいる勢力もいるのだろうが、ワシントン州の前知事のGary Lockeなどは怒りが収まらないだろう。Bill Gatesの邸宅で開催された夕食会には、現知事のChristine Gregoireも出席し、地元企業の有志に会費として20,000ドルを払わせたというのだから。
 中国としても、窮地に立たされたBoeingから最新鋭の飛行機を買うことや、PCにOSをプリインストールすることを義務づけるなど、手ぶらで遊びにきたわけではないので、双方、忸怩たる思いがあるだろう。
江沢民がクロフォードを訪問してから既に4年が経過したわけだが、ヨーロッパを徘徊する中国人旅行客の増加には正直驚いている。
 他に何かあったっけ?今度、良く考えてみよう。

Wednesday, April 19, 2006

免疫学の話をひとつ。四月14日号のScienceに“Evidence for a functional second thymus in mice”という論文がでていた。胸腺は心臓の上にへばり付いたクロワッサンのような形をした臓器というふうに理解されていると思う。ところが、今回、首の副腎の近くにあるリンパ節のような臓器が、機能的な胸腺であるという証拠が提示されたわけだ。
著者の提出したデータとしては、①組織学的な構造、②胸腺特異的な分子の発現、BAL/Cヌードマウスへの移植→T細胞依存性抗原(B型肝炎ウイルス表面抗原)に対する抗体価の測定などであった。
私などにしてみれば、アッソという感じだ。というのも、鳥類(ニワトリ)の胸腺は、もともと頚椎に沿って、複数のlobesが左右対称に並んでいるからだ。でも、T細胞のontogenyの仕事をしている方にとっては、悩ましい論文だろう。胸腺切除によってde novoのTcellの発生を止めるトリックを使った実験データの解釈を見直す必要があるからだ。
科学は今回の件のように、修正されつつ発展するわけで、Don’t mindとしかいえない。
ヒトにもあるの?という話にもなるのかなと思うが、、それは未知の世界だ。
 今回の論文を読むと、「40年ほど前に、マウスの首の切片を観察すると、胸腺に似た臓器があるという報告があった」と書いてあったのだが、出典は”Wistar institute symposium monograph No. 2., V.Defendi, D. Metcalf, eds.( Wistar institute press, )となっていおり、レフェリーに指摘されるまでは、誰も気がつかなかったのではないか。
 論文を執筆するに際してリサーチするのは当然だが、どの程度で止めるかというは悩ましい問題だ。ある特定の機能を担う分子のクローニングを試み、既知の分子に行き着いた場合などは、適当なreviewを呼んで孫引きしたり、vivisimoで探すぐらいが関の山だったりする。そういう意味では、Googleが全出版物を押さえにかかるというのは、使う側からすると大変ありがたいが、それじゃBig brotherの世界だといえば、その通りなわけで…悩ましい。

Tuesday, April 18, 2006

新疆ウイグル自治区といったらきな臭い事で有名であるが、2001年にパキスタンで拘束され、Guantanamoに送られたAbu Bakker Qassim とA’del Abdu al-Hakimのケースは微妙だ。
二人は、敵国兵ではないことが確定し、釈放を求める訴えを起こしていたが、最高裁は、宗教的な迫害などを理由に釈放を見合わせる判決を下した。
 二人の、バックグラウンドについては特に引っかかるところもないが、拘留センターの収容者490名のうち、15名がUighurs(3%)ということを BBC newsはさりげなく伝えており、イヤーな感じですな。
 胡錦涛といえば、89年1月にはチベット自治区の共産党書記に就任し、分離独立運動を強力に押さえ込んだことにより、党中央の信頼を勝ち得たとの観測があるようです。
 火曜日に米国を訪問する際には、「この話は無しネ」といったところだろうが、いやらしく擦るところが、BBCのBBCたる所以ですな。
BBC news 17 April 2006

Sunday, April 16, 2006

子供の時は暇さえあれば外で遊び、擦り傷、切り傷が絶えなかった。今でもそれなりに遊んでいるのだろうが、スポーツや運動に費やす時間も少なくなった。ということで、裂傷とか擦傷というのもほとんどないが、一遍出来たら中々治らなくなった。それが、「老い」を感じ始めた瞬間かもしれない。 
Journal of Cell Biologyに載ったBalaji Bandyopadhyayらの論文はちょっと面白かった。TGFシステムは細胞の極性や運動の制御に重要な分子であることはかなり詳細に記載されてきたが、組織の構築・修復においても重要らしい。血漿中にはTGFB3がほとんどないが、血液の凝固に伴い血清中に放出される。レセプターの分布も真皮と上皮でかなり違う。TGFß receptor (TßR) type II レベルは上皮では低く、真皮で高い。 傷が出来た場合、出血、凝固、というシグナル.キャスケードによって、TGFB3が放出され、TGFBRIIが発現した真皮の修復される。その後、上皮の修復が始まるが、上皮の修復開始のタイミングがTGF3の消長と一致する。
 このように、上皮と真皮の再構築には時間的、空間的なコーディネーションが必要であり、なるほどねといったシナリオだった。
J. Cell Biol. 172, 1093 (2006).

Friday, April 14, 2006

自動車は移動手段を提供するマシンであると同時に、ある種の自己陶酔の対象となる工芸品だったりするが、PCについてもフェティシズムを感じる人がいるようだ。 日本におけるMAC信仰というのは一種の神話だと思っていたが、Appleの営業データを調べてみると、あながち嘘じゃない。QEが日本のDTP市場における唯一使える製品だったことや、Adobeの製品への圧倒的支持があったことは知っていたが、それだけでは説明が付かないと思った。遺伝子の「切った、貼った」をやってる人はGenetyx macやヒタチのDNASISを利用しているが、頭数としては大して貢献していない。となると、SJが復帰して、プロダクトデザイン中心のマーケッティングをやったのが効いたというところか?Think differentのおかげだ。 今年、MacがCore duoを積んじゃったということは、「IBMが相手にしなくなった」と感じたものだが、大胆にITMSなどのサービス業に傾注していくのだろうか。 
 一方のWindows陣営は、 VISTAのリリースが遅れ、PCを売るためのキャッチフレーズに頭を痛めているようだが、ワンセグやHD-DVDでどれ位の客が採れるのだろうか?国内メーカーとなると、総合電気屋の特徴を生かし、薄型テレビとの融合を意識しているようだが、WCだけでは厳しいんじゃないかな。 
 クールという言葉の対極にあると考えられるDellも手をこまねいたわけではなかった。数年前にはDell dude””のadが注目されたが、今年に入り、マッチョ系マシンを製造するAlienwareを買収した。PCの米国市場でトップを走り(33.1%)他の追随を許さないDellが、僅か3.3%のシェアを有するに過ぎない第4位のAppleと同じようにPCの外見を重視するというのは興味深い。しかも全然テーストの違うタイプでだ。 アメリカのマッチョ系のデザインが全然だめな人もいるが、powerとspeedを意識させるデザインは、バカバカしくて一つのやり方ではある。轟音を発生させるファンをぶん回し、青や赤のLEDを点灯させるPCなど誰が買うと思うかもしれないが、関東周辺の国道を深夜小一時間車を走らせたら、理解できる思う。それなりにいると思う。「PCを使う人=It's a sony のデザインが好き」とは限らない。それなりに、高価なパーツを集めてPCを自作するヒトがいるのだから。
 昨日Google Miniの発表に際して、Legoで作られたサーバの写真がでていたが、アルミケース屋さんは、どんなふうに感じたのだろうか?ケースに金を払うということはそれなりのDesignを要求しているわけで、NYtimesに取り上げられたで終わりじゃ、Userは離れていく。真似されたと泣き言を吐く前にやることあるよね。
Slate :
Dell's quest for cool

Thursday, April 13, 2006

「イラクの現状は内戦状態か?」という話になると、まー、そうだろうねというのが大方の見方だろう。ただ、この状況を少しでも自分に有利な方向にもっていこうという立場になると、とりあえず、内乱状況にはないと云わざるを得ない。例えば、Jack Strawのようにだ。 現実的には、これ以上酷い状況にならないようにするための4W1Hを検討していくのだろうが、現実的な手段を整理していくとなると各国の足並みは乱れるのだろう。イラクの現状は「何でもあり」といったところで、暫くは最悪の状況を想定して動かざるを得ないのだろう。 
 かつてのLebanonの状況から、学べることがあるとすると、以下の4項目が肝要だとSlateのMichael Youngは指摘している。即ち、①内戦は、筋書きに従って直線的に進行するものではない。②内戦の勃発と継続には、国民全体の意向が必ずしも尊重されるわけではない。③内戦は継続していくうちに、隣国による代理戦争の様相を呈する。④1990年のシリア軍によるレバノンのキリスト教勢力の鎮圧にみられるように、内戦の終結は突然訪れるということだ。 
 ステレオタイプな説明によれば、SunniとShi'a、北部のクルドの対立軸があって、さらにトルコ、イランについての懸念があるということになるが、それだけで現場を読み解くことは出来ない。 資金源と武器の供給ルートがどの程度掌握できているかによって、今後のオプションは変わってくるのだろう。
 自爆テロの対策となると、夜間外出禁止令と検問の徹底が必要であり、米軍だけでは無理かもという観測もないとはいえない。国連あるいは多国籍軍による管理体制の構築という手もあるにはあるかもしれないが、フランスやイタリアの現状をみると、いやな感じがする。 長期間の経済的な負担も伴うわけで、変な予感が当たらなければいいのだが?

Tuesday, April 11, 2006

 30年ぶりに、Easter Rising (イースターの蜂起)を記念した行事が行われる。ダブリンのO'Connell Str. に立つ総合郵便局(GPO)においてイギリスからの独立宣言が読み上げられる。PoguesやVan Morrisonのfunなら関心があるのかなと思うが、どんなものだろうか? Maxwell将軍は、反乱兵、民兵、警察官などを革命分子として殲滅するよう命じ、武装闘争は失敗した。その後の政治運動の高まりにより、1918年の総選挙では地すべり的な勝利を収め、その後、イギリスからの独立を果たしたが、宗教的な対立により内乱状態も経験した。
 90周年という「刻み」は他に例もないが、共和国の国防大臣のWille O'Deaは、式典が実施可能となった背景には、北アイルランドのセクト的な暴力沙汰が過去のものとなったことをあげた。実際、1971年以降には一回だけ記念行事が開催されているが、その後は無期限の延期という事態が続いてきた。ようするには、国境警備の手を抜いちゃまずいということ。 
 いずれにしても、アイルランドの全ての政党はGPOに起源を持つとしており、Sinn Feinnは今でも正当な継承者であると宣言している。
 アイルランド政府は笑っちゃう程成熟しており、今年の7月には第一次大戦において、イギリス軍と共に戦った北フランス戦線における犠牲者を追悼する式典も計画している。
 バランス感覚という奴だ。誰も文句のない棋譜だわな。

Monday, April 10, 2006

QTLというと身構えてしまう人がいるが、家畜や植物の育種においては極当たり前のタームにすぎない。ただ、育種となると乳量や乳脂率など金になる形質や病気に対する抵抗性などが注視されるが、たまには社会科学的に興味深い形質についても研究されたりする。 Scienceに発表されたLiらのpaperはエキサティングな論文だった。 野生の稲は開花後、種子が成熟すると、直ちに種子が飛び散り、次の発芽に備える。人が狩猟生活から農耕を中心とした社会を形成するためには、植物は 可食性の種子を形成するだけではなく、収穫を計画的に実施できる形質が必要である。イネにおいて、後者の性質を規定するのは、種子の飛散を抑制する組織学的な構造にある。
 Liらは野生のイネとアジアにおいて栽培されているイネのF2をとり、QTLのマッピング、ポジショナルクローニングに成功したわけであるが、Myb3 DNA 結合ドメインを持つ転写因子が責任遺伝子として同定された。種子を飛散させず茎に残存するためには、本来、小花梗周辺に特異的に発現する遺伝子(プロテアーゼなど)が器官脱離に重要であり、この遺伝子を今回単離されたsh4がコントロールしていると考えられる。 小麦やトーモロコシでもマスタージーンだったりして?

Friday, April 07, 2006

スパイの心理状態とはどういうものなのだろう?絶えず発覚を恐れ、消耗し、夜も眠れず、酒と睡眠薬を常用してきたのだろうか。あるいは多重人格のサイコパスで、仲間を騙し、嘲け嗤うことに興奮を覚えたりしていたのだろうか?それとも、自らの信義に絶望し、転向したのか?金の誘惑あるいは二重スパイ?私のスパイに対するイマジネーションはあまにり凡庸だ。
 いずれにしても、20年に渡ってSinn Fein党を裏切り続けたとなるとDenis Donaldsonの名は歴史に刻まれたわけだ。共和主義者にとっても、ロイヤリストにとっても。
アイルランド独立運動の一大勢力であるSinn Fein党の大物であった彼が、2002年北アイルランド大臣のJohn Reidの官邸にスパイ網を張っていたという嫌疑で逮捕されたが、3年間におよぶ法廷闘争の末に無罪を勝ち取った。その後Sinn Feinの党首であるGerry Adamsにより「Donaldsonは80年代からイギリスのスパイだった」と暴露され、彼は行き場を失った。鬼のように寒い12月に家族をベルファストに残し、義理の息子の所有していた、電気も水道もないコテージに身を潜めた。その後、メディアが潜伏先を嗅ぎつけ、暗殺者の餌食になったわけだ。あまりに惨めな死に様だ。
 Donaldsonは10代からIRAの武装闘争に参加し、投獄されたが、牢獄でAdamsに出会ったというから、AdamsもBobby Sands もさぞ悔しいことだろう。Sinn Feinとは“We ourself”という意味だというが、最近の戦略としては”the armlite in one hand and ballot box in the other”との姿勢を完全に放棄してはいない。
Donaldsonの片腕が吹き飛ばされたのは恐らく、防護反応だったのだろうという記事もあったが、余りに暗示的だ。しかも、BlairとAhernの会談の数日前にだ。

Thursday, April 06, 2006

4月6日は、National Tartan Dayだ。アメリカのスコットランド系の人々のお祭りといったところか? 現在、アメリカには1,100万人程のスコットランド系あるいは、アコットランドーアイルランド系の住民が暮らしている。昨年は映画”Braveheart"のモデルとなった、William Wallaceの処刑から700年にあたることから、議会は4月6日を国民の日に制定する法案を可決した。1320年の4月6日にArbroath宣言がなされ、これがアメリカの独立宣言のモデルとなったことや、米国の独立宣言に署名した13週のうち9州の知事がスコットランド系だったことを記念したわけだ。 第28代大統領Wilsonは”Every line in America's history is line coloured by Scottish blood"という言葉を残しているが、スコットランドの苦渋に満ちた歴史と、祖先への感謝を込めたものだ。 だからといって、「祖先を敬い国家に忠誠を尽くせ」といったとたんに、胡散臭くなるわけだし、祝祭として上手に扱うのが賢明な態度というものだろう。日本人も自虐的なギャグが好きだが、SalonのAlan Black氏のエッセイ”Scotland the grave"には大笑いさせてもらった。 
 こうした記念すべき日に、中村俊輔がCelticのScottish premirership制覇に貢献したというのも、何か因縁めいたものを感じる。

Wednesday, April 05, 2006

NOD系統のマウスは人のI型糖尿病に酷似した症状を見せることから、糖尿病のメカニズムを理解する上で貴重なモデル動物である。2003年、ボストンにあるMGHの Denise Faustsmanらは、NODマウスにFCAを投与した後、H2の半不適合の脾細胞を移入すると、ドナーの脾臓に含まれていた幹細胞がβ細胞が分化し、I型糖尿病の症状が改善するとScienceに報告した。幹細胞に関する研究が非常に注目されていた時期でもあり、この論文はかなり注目を浴び、世間的な関心を集めた。Fordの元会長であり、あのマスタングの生みの親でもあるアイアコッカは、I型糖尿病で亡くなった奥さんを思い、自ら100万ドルの寄付を申し出るとともに、治療法の可能性を示すため、100万人の市民に10ドルの寄付を募る声明を発表している。
 Denise FaustmanがFDAの認可は受けたものの、小児糖尿病研究財団などからの、資金の獲得には失敗したからだ。そうした一連の騒ぎを殆ど忘れかけていた今年になって思いがけない論文が発表された。しかも3報の論文が同時にMarch23のScienceに掲載された。
 基本的にはFaustsmanグループの追試なのだが、中には大御所Unanueのグループも含まれていたから、Scienceとしてはこれで決着ということなのだろう。
 結論としては、ドナー由来の脾細胞からβ細胞が分化誘導されることはないということだ。ただ、3つのラボで、ある程度の症状の改善は確認されており、症状が改善したメカニズムは別のところにあるということだ。Tregが利いているのかもという想像もあるが、人の治療となると道のりは遠そうだ。FCA単独投与でもある程度の症状の改善するということから、ヒトにはBCGを打っちゃえというのもあるのだろうが、Nishioらの言うように、BCG療法は12年も前に試みられており、効くのかというとそれほどでもないというのが結論になっている。FCAなんぞは、無茶苦茶、炎症するし、ヒトには使えないし。
となると、阪大様様という話になるのだろうか?

Tuesday, April 04, 2006

イスラエルとパレスチナの鍔迫り合いが始まった。
 今度は、6日間戦争でウエストバンクで指揮を執ったElad Peledの名を冠した団体が、入植地者たちをSilwan地区およびオリーブの丘へと転居させ進めたというのだ。
 東イエルサレムとなると、話はヤヤコシい。1967年のシコリがあるし、パワーバランスによってとりあえず手打ちとなっていたところもあり、今度は傷口に塩を塗るようなものなわけだ。
 保守勢力としては、カディマに負け、大衆的な支持を失いつつある状況に危機感を持ち、揺さぶりをかけているが、やりすぎると誰にも消せない大火事になる。
 Elad協会が購入した2つのビルはオリーブの丘に立っているが、この土地の前所有者はアルブ人に売ったと主張しているが、「金で魂を売ったのか?」とばかりに、レストランは放火され、治安当局の尋問を受けるためにRamallahまで連行されたりしているという。
 パレスチナとしては東イェルサレムに首都をおきたいわけだし、イスラエルとしてはイェルサレムは不可分だとの思いが強い。 オリーブの丘への拘る理由となると、wikipediaの説明が簡潔だ。

Major damage was suffered when the Mount was occupied by Jordanduring the 1948 Arab-Israeli War, with Jordanians using the gravestones from the cemetery for construction of roads and toilets, including gravestones from millennia-old graves. When Israel took back the area, the Israelis painstakingly repatriated as many of the surviving gravestones as possible.

これを業と呼ばずして何を業と呼べるのだろうか?
BBC news

Monday, April 03, 2006

 今週から、イングランドの南東部で給水制限が始まるという。
ここ17ヶ月の降雨量は過去70年間で最少とのことで、影響は1000万人に及ぶものと考えられている。1976年の旱魃でさえ、イングランド南部では数百万本の木が枯れたが、今回の場合は深刻で、既に森の木は干乾び始めている。
 数年前にロンドンに行った時には、6月だというのに気温が33度を超え、持参したセータは無用の長物となったが、会う人会う人「こんなの経験したことないね」といっていたのが思い出される。ホテルなどには、エアコンディショナーなどないのが普通だから、皆窓を開けて寝ていたが、こうした状況がしばらく続くと生活習慣さえ、変わってしまうのかもしれない。
 新聞の読者に対する提案を見ると、英国を含む先進国の水の消費のパターンが見えてくるが、我々にもそのうちお鉢が回ってくるのかもしれない。
 開発途上国の一日平均の水の消費量は20L/dayであるが、英国では一人当たり165L/dayとなっている。このうち1/3はトイレのflushに使われるということで、「おしっこをしている間に水を流さない」とか、「トイレの水槽に節水用のHIPOなどを装着する」とかいうのはリーズナブルな対策だ。
一方、「歯を磨く時、水を流しっぱなしにすると、一分間に6Lの水を浪費する」とか、「スポンジとバケツを使って洗車をすると最大250Lの節水ができる」というのも私には耳が痛いので、今日からやめたい。
 みんなが水の浪費を抑えても、深刻な影響を食い止めることはちょっと難しいようだ。昨年の旱魃により南ヨーロッパの農業生産は2、050億円程落ち込んだというが、、南部イングランド地方では比較的小規模な営農形態が多いものの、農業用水の確保がままならず、河川から直接取水しなければならない。こうなると、汚染が懸念される河川の水を作物の生産に使わざるを得ないことになる。また、レジャーとなると、ゴルフコース、あるいはクリケットの芝生の管理はもはやあきらめ顔となっている。ガーデニングの水の確保さえままならないとのことだ。
 阪神」や「中越」の地震を経験された方々にはお分かりだろうが、「好きなだけ水を使えることの幸せ」とは中々理解しがたいものです。便利さとは麻薬のようなものですな。
Guardian March31など

Sunday, April 02, 2006

 南東アジアにおける生物の多様性に関する調査を実施する目的でラオスに向かった調査団は、市場で売られていたリスに似た見慣れない動物に興味を持った。この奇妙な動物は、石灰岩に穴を掘って暮らす夜行性の動物であり、新種として記載された。まー、ここまでは、良くある話で済むのだが、古生物学者の参入によって、話は膨らんでいった。 今回、 Carnegie Museum of Natural History in PittsburghのMary Dawson らは、ラオスで見つかったリスの仲間が、Diatomyidae族と呼ばれ、1100万年前に絶滅したげっ歯類の祖先の一族ではないかと考え、形態学的特徴を詳細に観察した。両者は歯と顎の形態が良く似ており、下顎の位置はほとんど区別できず、咀嚼動作の共通性を示唆された。また、他のげっ歯類には認められないエナメル質の構造を保持していたことなどから、 Laonastes aenigmamusはDiatomyidaeに属する種であると結論づけられた。
 人間が、調査できる範囲というのは限度があるし、調査に行く理由も地政学的な興味だったりする。そんな人間の事情などお構いなしに、生物は逞しく生きているわけだ。 げっ歯類はどの大陸でも、しぶとく生き永らえてきたグループであり、それぞれ適応のストラテジーがあったりするわけだ。 実験生物学の世界とは、今存在するものだけで、ストーリーを紡ぐものであるが、今回のようなミッシング.リンクが見つかると突然視野が開けたりする。 Laonastes aenigmamusの生態の理解と、genomicsによる、遺伝学的な研究からどのような知見が得られるのか、今から期待しよう。
 Science March 9th