Monday, April 10, 2006

QTLというと身構えてしまう人がいるが、家畜や植物の育種においては極当たり前のタームにすぎない。ただ、育種となると乳量や乳脂率など金になる形質や病気に対する抵抗性などが注視されるが、たまには社会科学的に興味深い形質についても研究されたりする。 Scienceに発表されたLiらのpaperはエキサティングな論文だった。 野生の稲は開花後、種子が成熟すると、直ちに種子が飛び散り、次の発芽に備える。人が狩猟生活から農耕を中心とした社会を形成するためには、植物は 可食性の種子を形成するだけではなく、収穫を計画的に実施できる形質が必要である。イネにおいて、後者の性質を規定するのは、種子の飛散を抑制する組織学的な構造にある。
 Liらは野生のイネとアジアにおいて栽培されているイネのF2をとり、QTLのマッピング、ポジショナルクローニングに成功したわけであるが、Myb3 DNA 結合ドメインを持つ転写因子が責任遺伝子として同定された。種子を飛散させず茎に残存するためには、本来、小花梗周辺に特異的に発現する遺伝子(プロテアーゼなど)が器官脱離に重要であり、この遺伝子を今回単離されたsh4がコントロールしていると考えられる。 小麦やトーモロコシでもマスタージーンだったりして?

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