Friday, April 07, 2006

スパイの心理状態とはどういうものなのだろう?絶えず発覚を恐れ、消耗し、夜も眠れず、酒と睡眠薬を常用してきたのだろうか。あるいは多重人格のサイコパスで、仲間を騙し、嘲け嗤うことに興奮を覚えたりしていたのだろうか?それとも、自らの信義に絶望し、転向したのか?金の誘惑あるいは二重スパイ?私のスパイに対するイマジネーションはあまにり凡庸だ。
 いずれにしても、20年に渡ってSinn Fein党を裏切り続けたとなるとDenis Donaldsonの名は歴史に刻まれたわけだ。共和主義者にとっても、ロイヤリストにとっても。
アイルランド独立運動の一大勢力であるSinn Fein党の大物であった彼が、2002年北アイルランド大臣のJohn Reidの官邸にスパイ網を張っていたという嫌疑で逮捕されたが、3年間におよぶ法廷闘争の末に無罪を勝ち取った。その後Sinn Feinの党首であるGerry Adamsにより「Donaldsonは80年代からイギリスのスパイだった」と暴露され、彼は行き場を失った。鬼のように寒い12月に家族をベルファストに残し、義理の息子の所有していた、電気も水道もないコテージに身を潜めた。その後、メディアが潜伏先を嗅ぎつけ、暗殺者の餌食になったわけだ。あまりに惨めな死に様だ。
 Donaldsonは10代からIRAの武装闘争に参加し、投獄されたが、牢獄でAdamsに出会ったというから、AdamsもBobby Sands もさぞ悔しいことだろう。Sinn Feinとは“We ourself”という意味だというが、最近の戦略としては”the armlite in one hand and ballot box in the other”との姿勢を完全に放棄してはいない。
Donaldsonの片腕が吹き飛ばされたのは恐らく、防護反応だったのだろうという記事もあったが、余りに暗示的だ。しかも、BlairとAhernの会談の数日前にだ。

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