Thursday, March 16, 2006

グリンスパンの回顧録のギャンティーは10億円だという。日本の出版社では簡単には手が出せないところがほとんだろうが、面子ということもあり、日経が翻訳を出すんだろうな。でもダイヤモンドあるいは東洋経済もペンギンとの交渉に手を上げる可能性はあるよね、きっと...。
 TVなどでは、彼がくしゃくしゃのコートを羽織り、使い古したBAGを手にFEDに入っていく姿がしばしば映し出されるが、議会証言がそのままTVに流されることはほとんどないから、彼の発言についての解説だけがメディアに垂れ流されてきた。
 彼の物言いは”Oracular obscurity"と表現され、恐ろしく慎重でかつ巧妙な物言いをすることから、しばしば何を言っているか分からないと揶揄される。こうした批判に対して、「君らには警告する必要があるのかなと思うが、私が単純明快な人物だとすれば、君らはたぶん私の言ったことを誤解するだろう。」と反論している。
 これまでの彼の発言は全て仕事と立場をわきまえてのものであり、autobiographyでは少しはサービス精神が発揮されるのであろうか?これまでと変わらない慎重な言葉選びが展開されたとしたら、読書にカタルシスを期待する人々はいらいらするのかなとも思う。 統計オタクとされるグリンスパンも実は、Juilliardでクラリネットを学び、サクソフォンの腕前は折り紙つきなのであって、著書では横道にそれてくれることも期待したい。
 1996年のAEIでのスピーチでは“irrational exberance and unduly escalating stock prices”という有名な言葉を使ったがのだが、マーケット関係者は一瞬にして凍りつき、東京市場は、一日で3.2%も下げたのはもはや伝説である。当時のインターネット環境では、ストリーミングなど存在せず、グリンスパンの言わんとするところがどれほど正確にヒトに理解されたかは疑問がある。無論、12チャンネルの朝のニュースを見ていた人は沢山いたのだろうけれどネ。マーケットには時たま脊髄反射のようなものが起こり、「これは何かとっても大事な警告だ。逃げろ」という反応もあったのではないかな?
 本が世にでるのは早くても来年九月とのことで、今のところrunning titleは、‘Is Your Money Supply Expanding, あるいは Are You Just Happy To See Me?とされている。マジカヨであるが、これから一年以上も待たされるか?やれやれ。
                        Slate Michael Kinsley

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