Sunday, March 12, 2006

「結局のところ男には犬以上に信頼のおける友などいないのさ」とイギリス人は嘯くが、「ブルータスお前もか(Et tu, Brute?)という台詞書いた作家は「運命よ、おまえの意志は人間には知るすべもない。人間いずれは死ぬ、それは知っている、問題はいつ死が訪れるかだ。」とも述べており、英国人は日本人に劣らず「人生の儚さ」に自覚的なのかもしれませんね。 ヒトの友達がイヌだとしたら、イヌにとっての友達はどのへんなんでしょうね?少なくとも遺伝的にはオオカミが、そしてその次にコヨーテ、ゴールデン.ジャッカルがというデータがありますが、更にさかのぼると、黄色ジャッカル、キツネやミンクが一族に名を連ねることになります。 分子進化の研究によれば、ヒトとイヌの分岐年代は95Myと推定されていますが、ヒトの染色体が46対であるのに対してイヌの染色体は78対であり、顕微鏡で観ると鳥類のように細かい豆粒のように見えます。 哺乳類においてこれほど染色体数が多い動物は珍しく、標準核型の作製すら困難を極めました。染色体特異的ペインティングプローブを利用しての染色体地図の作製に目鼻がついたのも97年ごろだったと記憶しています。 イヌがモデル動物として世間的な感心を呼んだのは、ナルコプシーの原因遺伝子がポジショニングクローニングされてからだと思いますが、①表現型の多様性、②比較的小さいコロニーから作出された系統が得られること、③ヒトの疾患のアナロジーと考えられる遺伝性の症状が記載されていることなどから、ジェノミックスとしてもアプリケーションの点からもオモロイと認識され、ゲノムシーケンスの決定(ただしドラフト)に漕ぎ付けたのでした。 NIHにはこういうクレバーなヒトがいるのですよ。Stephen J. O'BrienとかNancy Jenkinsとかネ。
明日に続きます.... 

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