Tuesday, March 21, 2006

川崎の信じられない走塁と、西岡のプッシュバントは野球という競技の深遠な魅力を示してくれた。最もこういうプレイが出るためにはそれなりの舞台が準備されなければならなかったのであって、そこには「静寂」と「拍手」があった。静寂は競技者の集中力を高めると同時に、無言の圧力となった。松中に四球を与えた投手には、容赦の無いブーイングが浴びせられ、次の打者への投球に際しては。自ずと力が入ったのだろう。 モメンタムとは恐ろしいもので、相対する一方がチャンスを潰すと、他方に必ずといっていい程チャンスが訪れる。八回のキューバは既にノーチャンスにみえたが、レフトの上空を破ったホームランで球場全体の空気が変わり、反攻の狼煙が上がったかに思えた。 ところが、誰もが予想し得なかった瞬間が訪れた。王監督が今シーズンからレンジャーズに移籍する大塚をマウンドに送り出したのだ。大塚にとってサンディエゴは暫く前までのホームグラウンドで、球場サイドが用意した彼のテーマソングが演奏されるとサンジエゴの観客は一瞬にして、大塚個人に対する守護者となった。このイニングを無事乗り越えることが出来たことで、9回の攻撃が引き出されたと考えていいだろう。大塚が日本を飛び出したものの、サンジエゴで鳴かず飛ばずであったら、観客の声援はなかったはずで、大塚を選んだ王監督の引きの強さを感じた。 最高のフィナーレを迎えたWBCであるが、今後野球選手の最高の舞台として定着するかどうかは、まだわからない。MLBはある意味チャンピオンリーグみたいなもので、ワールドカップよりチャンピオンリーグだぜという主張もそれなりに説得力があるからだ。ただ、私個人は、Jsportsでやっているアルゼンチンリーグなどを観て、全く違うtasteを感じて、やはり世界は広いし、奥深いなと思う人間である。今後のWBCの行方は観客の判断に委ねるしかないのかなとも思う。根本的な問題として、アメリカ以外で開催が可能かという問題があるが、仮に日本で開催するとしたら、日本人はそれなりの金を払う覚悟をしなければならない。 兎も角、ソフトバンク対ロッテの試合を見に行く人がどの程度増えるか、フォローしたい。交流戦が去年から始まったことがここで効いてくるといいのだが...。

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