Sunday, March 19, 2006

世の東西を問わず、食べ物に関する倫理というのは悩ましい問題だ。アメリカにも大きな有機食品店がタイムススクエアの傍に出店するなどして、注目されている。WF社の社長は、社員に対して最低時給13.15ドルを保障し、法外な役員報酬は支給しない方針だという。社長の年収も342,000ドルと押さえ気味というが、日本の報酬水準と比較すると安いかどうかは微妙なところだ。この店では、チリ産の有機栽培のトマトが他の店で見かけるNJ産の普通のトマトより高値で取引されていたりする。 
 アメリカでは、「everyday low price」のフレーズで有名な某店のように、価格こそ競争という局面が確かにあり、業界の寡占化が進行している。こうなると、他の業者は価格を武器に競争を挑めないから、「環境にコンシャスです」というのは一つの売りになる。世の中、矛盾はつきものであり、彼らにもアキレス腱がある。 有機野菜といったら消費者は家族経営の農家を思い浮かべるのだろうが、実際のところ米国の有機野菜の生産も既に寡占化が進み、カルフォルニア州の5社ないし6社がシェアの大半を握っているという。 
 さて日本であるが、今年から「集落営農」制度がいつのまにか導入された。戦後の農業を支えてきた人々の高齢化が進み、あと10年したら、おそらく農業を生業とする人口は三割は減る。ヒトの数は票の数であり、金の流れも細くなるのだろうか? そうすると、農林水産省の名称は残るにしても、イギリスのようにMinistry of rural affairになっちゃうかもしれない。後は。環境庁と厚労省とまたがっている部門の統廃合が待ち受ける。
 結局のところ、食べ物の安全と安心は別次元の問題であり、「安心」について真剣に議論したかったら冷凍食品、加工食品、外食をsaveすることだ。少し絶望的な気分になる。
Is Whole Foods Wholesome? slate

0 Comments:

Post a Comment

<< Home